積水ハウス地面師事件の全貌|55億円騙された真相と主犯格の現在
事件の舞台となったのは、東京都品川区西五反田二丁目に位置していた老舗旅館「海喜館(うみきかん)」の敷地約600坪です。JR五反田駅から徒歩3分という目抜き通りにありながら、広大な敷地には木々が生い茂り、不動産業界では「山手線内側に残された最後の超一等地」と称されていました。
時価100億円とも囁かれたこの土地は、かねてより多くの不動産デベロッパーが喉から手が出るほど欲しがっていた垂涎の物件でした。しかし、女将である高齢の女性所有者は頑なに売却を拒否し続けていたことで知られていました。
そこに目をつけたのが、巧妙な連携で他人の土地を不法に転売して大金を詐取するプロの犯罪集団「地面師」たちでした。2017年4月、積水ハウスのマンション事業本部は仲介業者を通じて「所有者が売却の意向を示している」という話を持ちかけられます。提示された購入額は70億円。相場から見れば破格の条件に飛びついた積水ハウスは、所有者本人を装う女性と売買契約を結び、最終的に売買代金の一部や手付金として合計約55億5000万円の被害を被ることになりました。