【2026年現地ルポ】宿場町の風情とスマートモビリティが交差する街—Jr東海道線「二川駅」を取り巻く変貌の真相
北側に足を踏み入れると、一転して江戸時代の情緒が広がる。二川宿本陣資料館を中心に広がる旧街道は、全国でも数少ない「本陣」の公認建物が完全な形で現存する貴重な史跡だ。近年、この歴史的資産の価値を高めているのが、歴史保全団体と地元大学が共同開発したAR(拡張現実)音声ガイドシステムである。
旅人がかつて草鞋を脱いだ旅籠や問屋場跡にスマホをかざすと、当時の往来の賑わいや大名行列の足音が臨場感あふれる音響とともに再現される。静けさを保ちながらも、体験価値を重層化させる試みだ。古びた格子の町家をリノベーションした私設ギャラリーやコーヒースタンドも点在し、若年層の歴史ファンを惹きつける新たな歩行回遊性が生まれている。