天心Vs武尊の地上波中止はなぜ起きた?フジ撤退の真相と裏幕
「那須川天心 vs 武尊」という、キックボクシング界が生んだ2大カリスマの直接対決は、団体間の政治的壁を乗り越えて7年越しに実現した奇跡のカードでした。当初はフジテレビ系列にて、日曜ゴールデン帯の2時間特番として全国生中継される契約が締結されていました。しかし、2026年5月31日、フジテレビは突如として「主催者側との協議の結果、総合的な判断として放送を見送る」と公式発表を行いました。
土壇場で地上波放送が中止へと追い込まれた直接の引き金となったのは、直前の5月に『週刊ポスト』および『NEWSポストセブン』が報じた、RIZIN統括責任者・榊原信行CEOの「反社会的勢力との交際・金銭トラブル疑惑」の音声流出報道でした。2006年にかつてのPRIDEがフジテレビから放送契約を解除された苦い記憶を抱えるテレビ局上層部にとって、上場企業としての社会的責任と厳格な企業コンプライアンスの遵守は絶対条件でした。
報道各社の取材や関係者の証言によると、週刊誌の第2弾・第3弾報道の懸念に加え、大口ナショナルスポンサー各社からのリスク懸念の声が強まったことが決定打となりました。フジテレビ編成局および法務部門は、コンプライアンス上の疑義が完全に払拭されない状況下での生中継強行は企業ガバナンス上不可能であると判断し、異例の直前撤退へと踏み切ったのです。
榊原信行CEOの緊急記者会見と「選手ファースト」の叫び
フジテレビの撤退発表を受け、主催者側は2026年6月3日に緊急記者会見を実施しました。壇上に立った榊原信行CEOは、週刊誌報道の一部について法的措置を講じる意向を示しつつ、涙ながらに以下のように訴えました。
「選手たちには何の落ち度もない。放映権料やビジネスの損得ではなく、子供たちやお茶の間にこの歴史的一戦を届けるため、無償でもいいから放送枠を再検討してほしい」
しかし、一度下されたテレビ局の決定が覆ることはなく、地上波による全国放送の道は完全に閉ざされることとなりました。