北浦和の杜に響く建築と椅子のシンフォニー——2026年、なぜ埼玉県立近代美術館が感度の高い人々を惹きつけるのか
建物を外から眺めると、まず目を奪われるのが銀色に輝くグリッドフレームと緩やかな波を描くガラスウォールだ。手がけたのは、日本を代表する建築家・黒川紀章。1982年の開館以来、メタボリズム(新陳代謝)の思想を受け継ぐ名建築として国内外の建築ファンを魅了し続けている。
特筆すべきは、周囲の北浦和公園の自然と建物が見事に「共生」している点だろう。巨大な樹木の枝ぶりを避けるように設計されたアプローチや、館内にいながらにして木々のざわめきを感じられる開口部の配置。無機質なコンクリートと鉄骨の冷たさは微塵もなく、まるで建築そのものが公園の木々と一緒に呼吸しているかのような有機的な温もりが漂う。