競走馬の馬肉事件と引退後の過酷な現実|名馬の悲劇から知る真相
引退馬の命を奪う大きな盲点となっているのが、善意の受け皿に見える「乗馬用への転売ルート」です。
競走馬登録を抹消された馬の多くは書類上「乗馬」として引き取られます。しかし、時速60km以上で走るよう調教されてきたサラブレッドを初心者が安全に乗れる乗用馬に再調教(リトレーニング)するには、数ヶ月以上の時間と多額の費用、高度な技術を要します。気性の荒さや肢元の故障によって乗馬クラブで適性がないと判断された馬は、維持費の負担に耐えかねた施設から家畜商へと転売されます。
家畜商の手を経た馬は、熊本県などの肥育場へ送られて体重を増やされた後、最終的に食肉処理場へと出荷されるケースが構造化しています。馬主やファンが「乗馬クラブで元気に暮らしている」と信じていても、名義変更を繰り返すうちに食肉ルートへ流れてしまう事態が後を絶ちません。