視線の深層:写真家・高木康行がレンズ越しに捉えた都市、自然、そして時代の静寂
高木康行の写真論を語るうえで欠かせないのは、被写体との絶妙な距離感である。押し付けがましい主張を排し、カメラが存在しないかのように空間に溶け込む。そのまなざしは冷徹な記録者のようでありながら、被写体に対する深い眼差しに満ちている。
東京で生を受け、ストリートカルチャーが急速に成熟していく1990年代から2000年代にかけて、彼はグラフィックやファッション、音楽と密接に結びついた写真表現を展開した。商業写真のフィールドに身を置きながらも、彼の根底には常に「日常の中にひそむ生のグラデーション」をすくい取るドキュメンタリー精神が息づいていた。