分子式と組成式の違いとは?酢酸やグルコースで迷わない決定的な見分け方
分子式と組成式で迷ったとき、立ち返るべき判断基準は極めてシンプルです。それは、「その物質が、独立した粒(分子)として空間を飛び回ったり漂ったりできる構造を持っているか」という一点に尽きます。
物質の世界には、原子同士が共有結合でガッチリと結びついて1つの独立した塊(分子)を形成するものと、無限に連なって規則正しい結晶格子を構築し、どこからどこまでを「1個」と区切れないものの2大グループが存在します。
分子として独立して存在できる物質(水、二酸化炭素、アンモニア、各種有機化合物など)に対しては、その1つの粒の中に各原子が正確に何個含まれているかを数え上げた分子式(Molecular formula)を用います。これに対して、境界線のない巨大なネットワークを形成する物質(塩化ナトリウム、ダイヤモンド、金属など)には、1個の分子という単位が存在しません。そのため、構成元素が「どのような比率で混ざり合っているか」を最も簡単な整数比で表した組成式(Empirical formula)を採用するしかありません。
したがって、物質名を見た瞬間に「構成する結合が何か」を判定することが、最も確実な見分け方の近道です。非金属元素同士が共有結合して分子を作っていれば「分子式」、金属元素と非金属元素のイオン結合、あるいは金属結合や巨大な共有結合結晶であれば「組成式」を選択するのが鉄則です。