フジのドン日枝久の現在と退任理由|鹿内家との確執から影響力の全貌
かつて向かうところ敵なしだったフジテレビは、2010年代に入ると急激な視聴率低下に見舞われます。日本テレビやテレビ朝日の後塵を拝し、ついには万年最下位争い常連だったTBSにも抜かれ、視聴率ランキングで民放4位にまで転落しました。この歴史的失速こそが、日枝久氏の退任理由の最大の要因です。
凋落の引き金となったのは、成功体験への過度な執着と組織の官僚化でした。日枝氏が社長・会長として長期君臨するにつれ、役員人事や制作方針は「日枝氏の顔色を窺うイエスマン」で固められるようになり、かつてのような失敗を恐れない挑戦的な番組制作が不可能となりました。さらに2011年の「韓流偏重批判デモ」をはじめとするネット上の反発に対し、局側が高圧的な態度を取り続けたことで、若年層のフジテレビ離れは決定的なものとなりました。
経営面でも、放送事業の営業利益が赤字寸前に追い込まれる中、不動産事業(サンケイビル等)の収益で本業の赤字を埋めるといういびつな構造が常態化。これに対し、国内外の機関投資家やモノ言う株主(アクティビスト)から、フジ・メディア・ホールディングスの取締役会改革と日枝氏の退陣を求める圧力が年々強まりました。
2017年6月の株主総会を控え、80歳を目前にした日枝氏は、ついに取締役会長からの退任を表明。その後も取締役相談役として影響力を残そうとしたものの、「事実上の院政」「ガバナンスコードの形骸化」と経済界からも強い批判を浴び、最終的には相談役制度の見直しとともに経営の第一線から完全放逐される結末を迎えました。