『砂の女』と『ムーミン』の秘密 岸田今日子という不滅の怪女優
1970年代から80年代にかけて、彼女は映画やテレビドラマのサスペンス分野でも異彩を放った。市川崑監督による金田一耕助シリーズの大ヒット作『犬神家の一族』で見せた強烈な存在感は、今なお多くの映画ファンの脳裏に焼き付いている。
登場するだけで画面に不穏な緊張感が漂い、ひとたび台詞を口にすれば、物語の謎が深まる。一見すると冷徹でありながら、内側に狂気や悲哀を秘めた人物像を造形させたら右に出る者はいない。本格ミステリーやサスペンスの傑作群において、彼女の存在そのものが作品の品格と恐怖の質を担保していた。