スヌーピー作者の知られざる生涯|シュルツの遺言と病床の真実
過酷な執筆を続けていたシュルツに、残酷なカウントダウンが迫ります。1999年11月、大動脈瘤の手術を受けた際、医師から進行性の結腸癌(大腸がん)が発見され、すでに骨盤などへの転移が見られると告げられました。化学療法の激しい副作用と、度重なる微小脳卒中により、漫画家としての命である手のコントロールを失いつつあった彼は、苦渋の決断を下します。
同年12月14日、シュルツはファンに向けて引退を公式発表しました。「家族の願いと私の健康状態を考慮し、引退せざるを得なくなりました。これ以上、毎日の締め切りに耐えることができません」という声明は、世界中に大きな衝撃を与えました。これが公式に記録されたスヌーピー作者死因へと至る闘病の幕開けでした。
そして2000年2月12日午後9時45分。カリフォルニア州サンタローザの自宅で、シュルツは家族に看取られながら静かに息を引き取りました。享年77歳。あまりにもドラマチックだったのは、その死が訪れたタイミングです。彼が描き上げた『ピーナッツ』の最後のサンデー・ストリップ(日曜版最終回)が全米の朝刊に配達される、まさにその前夜のことでした。
最終回の原稿の中で、タイプライターの前に座るスヌーピーの横に添えられたメッセージこそが、世界を涙させたスヌーピー作者遺言です。
「読者の皆様へ。
これまで50年近くにわたり、チャーリー・ブラウンと彼の仲間たちを描き続ける機会に恵まれたことは、私の無上の誇りでした。これまでの皆様の温かい応援に深く感謝申し上げます。
チャーリー・ブラウン、スヌーピー、ライナス、ルーシー……彼らのことを私は決して忘れることができません」
自身の死期を悟っていたかのように、最後のコマを自らの手で締めくくった直後の旅立ち。この奇跡的な一致は、シュルツの魂がいかに『ピーナッツ』という作品と完全に同化していたかを証明する象徴的な出来事として、新聞各紙の一面を飾りました。