巨構を繋ぐ鋼の精度|森鋼材が手掛けるJisアンカーボルトと構造用鋼材の真価
阪神・淡路大震災や東日本大震災を経た日本において、耐震設計の基準は抜本的な見直しが重ねられてきた。かつて主流であった一般的な丸棒ねじ(SS400相当)によるアンカーボルトは、大地震の強烈な引っ張り荷重に対して十分な伸び能力を示せず、破断に至るリスクが指摘された。この課題を解決するために誕生したのが、日本産業規格「JIS B 1220」で規定される構造用アンカーボルトセットである。
森鋼材が提供する主力製品「SNR400B」および「SNR490B」は、まさにこのJIS B 1220に完全準拠した高性能部材だ。これらの鋼材は、降伏点(材料が変形し始める限界値)と引張強さの範囲が厳格にコントロールされている。地震のエネルギーをボルト自体のしなやかな伸びによって吸収し、建物全体の倒壊を食い止める「塑性変形能力」を備えている点が最大の特徴だ。
SNR400BとSNR490Bの技術的差異と適用区分
SNR400Bは、比較的広範な中低層~中層の鉄骨造構造物に多用される。標準的な強度と高い伸び特性を兼ね備え、安全かつ確実な設計を保証する。一方、高層建築やスパンの広い大型倉庫、物流施設などで要求されるのが高張力タイプのSNR490Bだ。より強い引張荷重に耐えうるため、部材の太さを最適化しつつ高強度の接合を実現する。
森鋼材では、これらの規格材を厳密なトレーサビリティのもとで管理している。製鉄会社(ミル)から発行されるミルシート(鋼材検査証明書)と自社の製造履歴を完全に一致させ、一本のボルトに至るまで品質証明を可能にする体制を維持している。