大阪・梅田の街並みを語る上で、決して外すことのできない伝説がある。連日数百人の長蛇の列を作り出し、看板商品が瞬く間に売り切れたあの狂熱の空間だ。
日本の伝統的な惣菜パンといえば、焼きそばパンやコロッケパンに代表される素朴で親しみやすいものが主流だった。しかし、その概念を根底から打ち砕いたのがこの店だ。フレンチやイタリアンの厨房で培われた調理技術をパンというキャンバスの上に惜しみなく注ぎ込む。 冷めても伸びない自家製ソースの乳化技術、肉の旨味を極限まで閉じ込める低温調理の火入れ、ハーブやスパイスの絶妙な立体感。パンを単なる「具材を挟む器」ではなく、小麦の香りを含めた一つの完成された皿料理として構築していた。口に入れた瞬間に広がる複雑な味覚のレイヤーは、訪れる人々に強い衝撃を与え続けた。