ルクソール気球事故の真相と原因|日本人犠牲者の悲劇と安全性の今
乗員乗客21名の中で生還を果たしたのは、パイロットのムーミン・ムラド氏と、イギリス人男性のマイケル・レン氏のわずか2名でした。2名はいずれも地上から約3〜5メートルの初期段階でバスケットから飛び降り、重傷を負いながらも一命を取り留めました。
当時、パイロットが乗客を残して真っ先に飛び降りたのではないかという「パイロット脱出」に対する批判が国際的な議論を呼びました。しかし、後の生存者証言や調査記録によると、パイロットは出火直後に手動で消火器を使おうと試みたものの、噴出するプロパンガスの火勢があまりに凄まじく、自身も重度の火傷を負って吹き飛ばされる形で機外へ落下したとされています。
一方で、重大な過失として指摘されたのが「緊急遮断バルブの未閉鎖」でした。航空安全基準において、燃料漏れや火災が発生した際には直ちに主燃料バルブを閉めることが絶対手順とされています。しかし、パニックと瞬時の火炎拡大によりバルブ操作が行われず、ガスが供給され続けたことが、気球を上空へと押し上げ、上空に取り残された乗客の脱出機会を奪う決定打となりました。