なぜ高齢社長は引退しないのか?廃業危機を招く心理と2026年問題
日本の中小企業を取り巻く環境は、いわゆる「2026年問題事業承継」の局面を迎え、極めて緊迫した局面に突入しています。中小企業庁の試算では、多くの中小企業経営者が70代を超えるフェーズに入っており、日本経済全体で数十万人規模の雇用が失われる懸念が現実味を帯びてきました。
特に深刻なのが後継者不在リスクです。帝国データバンク等の調査でも、中小企業の約6割が後継者未定と回答しており、後継ぎが見つからないまま社長だけが高齢化する事態が常態化しています。社長がどれほど「自分はまだ元気だ」と自認していても、経営者の健康寿命には生物学的な限界が避けられません。
認知機能の低下や突然の病に倒れた場合、銀行口座の凍結や取引先との契約停止といった実務上の麻痺が一夜にして発生します。後継者の選定と育成には通常5年から10年の歳月を要するため、70代半ばを過ぎてからの着手では、万が一の事態に間に合わないケースが後を絶ちません。