北海道旧土人保護法の真相|「保護」が招いた同化と廃止までの全歴史

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北海道旧土人保護法の内容と問題点は、単なる法律の不備にとどまらず、民族のアイデンティティそのものを解体する仕組みが組み込まれていた点にあります。全13条からなる条文のうち、中核をなしたのは「土地給与」と「農業転換」、そして「教育を通じた同化」でした。

同法第1条には、「農業に従事する者、または従事しようとする者に対し、1戸につき土地1万5000坪(約5ヘクタール)以内を無償下付する」と明記されました。一見すると寛大な施策に思えますが、現場の実態は真逆でした。すでに和人(本州からの入植者)によって肥沃な平野部は占有されており、アイヌの人々に割り当てられたのは、小石混じりの荒地や湿地、山林の斜面など、耕作に極めて不適な過酷な土地ばかりでした。

さらに第2条では、下付された土地の売買や担保設定が厳しく制限され、15年以内に開墾しなければ国へ没収されるという過酷なペナルティが課されていました。代々狩猟採集を営んできた人々に、十分な農具や営農指導も与えぬまま農業を強要し、耕作できなければ没収する――このシステムは、経済的自立を促すどころか、さらなる困窮を招く結果となりました。

また、教育面でも第9条に基づき、和人の子どもとは分離された「旧土人学校」が設置されました。そこでは日本語の徹底や皇民化教育が施され、アイヌ語や口承文芸(ユーカラ)の伝承は厳しく排除されました。1919年(大正8年)には困窮者への薬価給与規定など一部改正が行われたものの、法律の根底にある「見下された保護」という差別的構造は一切変わることはありませんでした。

伊藤 翔太

伊藤 翔太

フード&トラベルライター

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。