首の牽引は効果ある?悪化する噂の真相とやってはいけない人の見分け方
首の牽引は、誰にでも適応できる万能の治療法ではありません。中には、牽引を行うことで不可逆的な麻痺や重大な障害を招くケースがあります。医師の問診や画像診断において、以下の条件に該当する首の牽引やってはいけない人は、物理療法を厳禁とする必要があります。
最たる例が「頚椎症性脊髄症」です。神経の枝(神経根)ではなく、背骨の中心を通る太い神経の幹(脊髄)そのものが圧迫されている病態です。この状態で首を引っ張ると、脊髄への虚血や圧迫が増悪し、最悪の場合は手足の運動麻痺や排尿障害を引き起こす恐れがあります。歩行時に足がもつれる、箸が使いづらい、ボタンがかけられないといった症状がある場合、牽引は絶対に避けなければなりません。
重度の骨粗鬆症患者や、関節リウマチに伴う頚椎病変(環軸椎亜脱臼など)を抱える人も対象外です。骨や靭帯が脆くなっているため、牽引力によって微小骨折や頚椎の脱臼を引き起こす致命的なリスクがあります。
また、治療中や治療直後に生じる首の牽引めまい副作用にも警戒が必要です。首の骨のトンネルを走行する「椎骨動脈」が物理的に引き伸ばされ、一時的な脳虚血を引き起こしているサインです。フワフワとした浮遊感、吐き気、冷や汗を伴うめまいが現れた場合は、脳梗塞などの血管事故を防ぐためにも直ちに治療を中断しなければなりません。
臨床的に確立された首の牽引中止の目安としては、以下の症状が現れた瞬間が挙げられます。
- 牽引中または直後に、手のしびれや痛みが腕の先へ広がった(放散痛の悪化)
- 首を引っ張られている最中に、視界が暗くなるようなめまいや嘔気が生じた
- 治療を受けた当日の夜から翌朝にかけて、首が回らないほどの激痛が出た
- 手の指先に力が入らなくなり、物を落とすようになった