五木寛之の書籍で今読むべき名作は?代表作から読む順番まで徹底解説
ネット上の言説や一般的なパブリックイメージの中には、五木作品に対するいくつかの先入観や誤解が存在します。正しく作品を味わうために、知っておくべき盲点を整理します。
第一の誤解は、「五木寛之の書籍は難解な宗教書や説教くさい教訓本ばかりである」というイメージです。実際は、作詞家(『艶歌』など)や放送作家、ルポライターとして活躍した経歴を持つため、文章のリズム感とエンターテインメント性は傑出しています。初期の『さらばモスクワ愚連隊』や五木寛之 直木賞受賞作『蒼ざめた馬を見よ』などの短編小説を読めば、そのスピーディーで洒脱な文体に驚かされるはずです。
第二の誤解は、「『青春の門』や『親鸞』などの大作は、最初から最後まで順番通りに読まなければ意味がない」という思い込みです。長編シリーズであっても、各篇ごとに独立したクライマックスやテーマが描かれているため、まずは代表的な『筑豊篇』だけを手に取る、あるいはダイジェスト的なエッセイから入るだけでも作品世界の真髄を十分に味わうことができます。
また、五木寛之 新刊として近年刊行されている90代の境地を綴った著作群(『捨てない生き方』『折れない心』など)は、一貫して「マイナスからの再出発」を平易な言葉で語っており、決して難解な哲学用語の羅列ではありません。