長渕剛『ろくなもんじゃねえ』なぜ「ぴよぴよ」?歌詞の真意と衝撃の誕生秘話
『ろくなもんじゃねえ』は、1987年5月25日に長渕剛の16枚目のシングルとして東芝EMIよりリリースされました。本作を語る上で欠かせないのが、同年4月から8月にかけてTBS系列の金曜ドラマ枠で放送された主演ドラマ『親子ジグ・ザグ』の存在です。
長渕剛はこれ以前にも、『家族ゲーム』(1983年)や『親子ゲーム』(1986年)といったTBS制作のホームドラマで主演を務め、従来の優等生的な主人公像を打ち破る「不器用だが情に厚い男」を演じて俳優としても絶大な支持を獲得していました。『親子ジグ・ザグ』では、下町で定食屋を営みながら、訳あって預かることになった少年との衝突と絆を描く破天荒な主人公・下落合勇介を熱演。ドラマのオープニングおよび劇中のクライマックスで流れたのが、自ら作詞・作曲を手掛けた『ろくなもんじゃねえ』でした。
当時の制作関係者や音楽誌の回想インタビューによると、長渕はこの楽曲の制作にあたり、「世の中の理不尽や大人の欺瞞に押しつぶされそうになりながらも、泥臭く這い上がる人間の生の感情」をストレートにぶつけることを意識したとされています。バブル景気へと突き進み、浮ついた空気が充満し始めていた1987年の日本社会において、汗と泥にまみれた剥き出しの人間臭さを提示した本作は、多くの若者や労働者層の心を強く捉えました。