2026年、なぜ私たちは再び「原口元子」を求めるのか?欲望と野望の金字塔『黒革の手帖』が現代に突きつける問い
松本清張の凄みは、人間ドラマの背景にある「制度の穴」や「社会の歪み」を完璧に捉えていた点にある。架空口座、脱税、政財界の裏金——元子が暴いた闇は、四十年以上経った今のニュース記事の見出しと不気味なほど一致する。
「人間は変わらない」。清張が遺したこの静かなメッセージが、今さらながら胸に刺さる。コンプライアンスが厳格化したと言われる現代社会でも、隠蔽と利権の構造は形を変えて生き残っている。彼女の手帖に記された名前が、もし現代のニュースに流れる名前だったら……そう想像するだけで、ぞっとするような現実味が立ち上がってくる。