「前前前世」歌詞の意味と誕生秘話|新海誠と野田洋次郎が描いた伏線
『君の名は。』の劇伴制作は、一般的なアニメーション映画の工程とは根本から異なっていました。製作期間は約1年半。脚本の初稿段階からRADWIMPSが参加し、音楽が脚本を変え、絵コンテが楽曲を変化させるという前代未聞のコラボレーションが繰り広げられたのです。
関係者の証言や公式インタビューによると、初期段階で野田が提出した複数曲に対し、新海監督から「素晴らしいが、このシーンに必要なのはもっと観客の心臓を掴んで離さない疾走感だ」というシビアなフィードバックが戻ることも珍しくありませんでした。幾度ものリテイクを経て「前前前世」のデモテープが届いた際、新海監督は絵コンテを描く手を止め、その圧倒的なドライブ感に鳥肌を立てたと述懐しています。
「音楽と物語が互いを食い合い、高め合う関係でなければ劇中歌にする意味がない」という両者の妥協なき職人魂が、単なるタイアップの枠を完全に破壊しました。映画終盤のクライマックスを飾る「スパークル」や「なんでもないや」の静寂と対比させる形で、「前前前世」は物語前半のエネルギーを爆発させる起爆剤としての役割を完璧に果たしたのです。