コウモリが嫌がる音と超音波撃退の真相|効果と限界をプロが徹底検証
ネット上には「スマホを向けるだけでコウモリが逃げる」と謳うサービスが散見されますが、コウモリ嫌がる音アプリの効果を検証すると、ハードウェアの壁に突き当たります。一般的なスマートフォンの内蔵スピーカーは、人間の声や音楽を再生することを目的に設計されているため、20kHzを超える超音波を十分な音圧(デシベル)で出力する能力が物理的に備わっていません。画面上で高周波を再生しているように見えても、コウモリにとっては微弱な雑音が鳴っている程度に過ぎず、威嚇効果は期待できません。
さらに専用の据え置き型発生器を使ったとしても、超音波が効かない決定的な理由は2つ存在します。
第1の理由は、超音波への慣れと現在の対策動向でも指摘される「学習能力」です。コウモリは非常に知能の高い哺乳類です。設置当初は異音に驚いて巣から飛び立つものの、その音を浴び続けても痛みや生命の危機といった直接的危害が及ばないと理解した瞬間、わずか数日から1週間程度でその環境を「安全な日常」として受け入れます。この順化現象により、継続的な忌避効果は急速に減衰します。
第2の理由は、高周波音特有の「直進性と減衰の早さ」です。周波数が高くなればなるほど、音は空気中の水分に吸収されやすく、柱や壁などの障害物にぶつかると跳ね返って裏側へ回り込みません。屋根裏の断熱材の奥や、瓦と野地板の入り組んだ隙間に潜伏しているコウモリに対して、直線的にしか届かない超音波は死角だらけとなり、まったく届かないケースが日常茶飯事です。