和泉式部「あらざらむ」の現代語訳と意味解説|百人一首56番の恋の真相
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まずは、和歌の原文と正確な現代語訳からその全体像を捉えます。
【百人一首 第56番】
◆ 原文:あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな
◆ 読み:あらざらん このよのほかの おもいでに いまひとたびの あうこともがな
【現代語訳】
「私はもうまもなく死んで、この世からいなくなってしまうことでしょう。ですから、あの世へと旅立つ唯一の思い出(冥土の土産)として、どうかもう一度だけでも、あなたにお逢いしたいものです。」
この歌の最大の特徴は、自らの肉体の滅びを冷徹に予見しながらも、その絶望を圧倒するほどの「逢瀬への渇望」を描き切っている点にあります。「この世のほか」とは、現世ではない世界、すなわち死後の冥府を指します。死を恐れるのではなく、死を前にしてなお、心に残したいものは「あなたと過ごす最後のひととき」だけであると言い切る強烈な情念が脈打っています。