名古屋市主婦殺害事件の真相と犯人像|Dna最新鑑定と遺族27年の執念
この事件を語る上で欠かせないのが、被害者の夫である高羽悟さんの27年間にわたる壮絶な闘いです。
悟さんは事件後、愛する妻が命を奪われたアパート202号室を引き払うことなく、毎月数万円の家賃を現在に至るまで27年間払い続けています。すでに支払った賃料の総額は2,000万円を遥かに超えています。
メディアの特番インタビューや自著・手記において、悟さんは現場を保存し続ける理由についてこう語っています。
「部屋を引き払ってしまえば、奈美子の無念も、犯人が残した空気も消えてしまう。もし犯人が捕まり、現場検証が必要になったとき、当時のままの部屋がなければ正確な立証ができないかもしれない。何より、ここを手放したら事件が終わってしまう気がする」
部屋の中には、奈美子さんが使っていた化粧品、当時の家具、そして2歳だった長男の玩具が、1999年11月13日の午後の姿のまま残されています。時計の針が止まったその空間は、風化を許さない遺族の強烈な執念の象徴です。
悟さんは「殺人事件被害者遺族の会(宙の会)」の結成にも尽力し、2010年の刑事訴訟法改正による殺人事件の公訴時効撤廃を勝ち取る原動力ともなりました。時効が撤廃された現在、犯人は一生涯、罪から逃げ切ることは法的に不可能です。