モズの早贄はなぜ串刺しにする?最新研究で判明した理由と生態の全貌
モズの早贄には、解体補助や求愛投資にとどまらない、化学的・物理的に計算された驚くべき機能が備わっています。その代表例が「獲物の毒抜き効果」です。
自然界の獲物の中には、捕食者から身を守るために体内に毒素や不快物質を蓄えている生物が少なくありません。例えば、特定の有毒なバッタ類(ツマグロバッタや海外のキリギリス類)、アカハライモリ、あるいはヒキガエルなどの皮膚毒(ブフォトキシン)を持つ両生類です。
北米やヨーロッパに生息する近縁種のオオモズ(Loggerhead Shrike)などの研究では、捕らえた有毒昆虫をあえて数日間枝に突き刺したまま放置し、日光(紫外線)や雨風に晒すことで毒素を揮発・分解させ、無毒化してから安全に捕食する行動が確認されています。日本国内のモズにおいても、強烈な刺激臭や苦味成分を持つ昆虫を早贄にし、一定期間乾燥させてから食べることで、消化器官へのダメージを回避していると考えられています。
さらに、秋の乾燥した北風と低い湿度は、獲物を急速に乾燥させ、腐敗菌の繁殖を抑えて「天然のドライフード(干物)」に仕上げる絶妙な環境を提供します。獲物が腐って無駄になるのを防ぎ、栄養価を長期間キープする天然の保存技術としても極めて機能的なのです。