六甲枝垂れが話題の理由とは?建築の秘密から夜景料金まで徹底解剖
六甲枝垂れを語る上で欠かせないのが、設計を手掛けた建築家・三分一博志(さんぶいち ひろし)氏の存在です。三分一氏は「建築が地球の一部になること」を信条とし、緻密な風と水、太陽の動きのフィールドワークをもとに設計を行うことで世界的に知られています。
この展望台には、動力に頼らず自然の力だけで快適な内部環境を生み出す「パッシブデザイン」の高度な仕組みが組み込まれています。
① 夏を冷やす「氷室(ひむろ)」と「風穴(ふうけつ)」の仕組み
冬の厳しい寒さを利用して、施設内の「製氷棚」に天然の氷を作ります。その氷を地下深くの「氷室」に貯蔵し、夏になると中央の煙突効果(風穴)によって山頂のそよ風を氷室へ誘導。氷で冷やされたひんやりとした冷気が見学者エリアへと循環する「冷風体験」が実現されています。電力を使わずに室温を外気より数度下げるエコな知恵は、かつて六甲山で行われていた天然氷の採氷事業の歴史を現代建築に昇華させたものです。
② 冬の厳しい気象が描く「樹氷」と「氷柱」のアート
冬(12月下旬〜2月頃)になると、網目状に組まれたヒノキのフレームに六甲山特有の過冷却水滴が吹き付けられ、真っ白な「樹氷(霧氷)」や巨大な「氷柱(つらら)」がびっしりと付着します。自然の気象現象そのものが建築をダイナミックに変貌させる姿は、人工物では決して生み出せない息をのむ美しさです。