デジタル空間に潜む「見えない暴力」:言葉の変容と問われる社会の自浄作用
日本国内におけるヘイト対策の先駆となった神奈川県川崎市の差別防止条例から数年が経過し、罰則付きの条例を模索する自治体は確実に増えた。刑事罰を視野に入れた厳しい姿勢は、一定の抑止効果を上げたと言われる。街頭における排外的なデモや扇動は目に見えて減少した。
しかし、ネット空間における匿名投稿に対して、地方自治体の条例がどこまで届くのかという問いは未だ重くのしかかる。発信者の特定には煩雑な法的手続きと時間を要し、その間に被害者の精神的苦痛は蓄積していく。表現の自由との慎重な線引きを意識するあまり、被害救済のスピードが追いつかない現状に対する司法関係者や法学者からの批判も根強い。