獄中から届くエシレバターの芳香と死臭——2026年、なぜ私たちは未だ木嶋佳苗の歪んだ台所から目を逸らせないのか
木嶋佳苗という存在を語る上で、食への異常な執着を切り離すことはできない。ル・コルドン・ブルーの講習に通い、高級スーパーの食材を惜しげもなく使い、煮込み料理に何時間も火を入れる。ブログに掲載されていた料理写真は、当時のブログ文化の中でも異彩を放っていた。
手作りのビーフシチュー、艶やかなタルト、美しく焼き上げられたローストポーク。彼女が提示した皿の数々は、家庭的でありながらどこかスノッブで、男たちの警戒心を一瞬で融解させる威力を秘めていた。胃袋を掴むという古典的な手法を、彼女は徹底した演出力で凶器へと昇華させたのだ。