静電気は何ボルト?痛みの正体と数千Vでも感電死しない科学的理由

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「家庭用の100ボルトで感電死する事故があるのに、なぜ数千ボルトの静電気では死なないのか」。この疑問を解くカギは、電流(アンペア)の大きさと流れる継続時間にあります。

人間が感電死に至る主なメカニズムは、心臓を動かしている微弱な電気信号が外からの電流によって乱され、心室細動(心臓が痙攣して血液を送り出せなくなる状態)を引き起こすことです。日本電気安全協会の指針などでも、人体に数十ミリアンペア(mA)以上の電流が1秒以上流れると生命の危機に瀕すると示されています。

静電気の場合、確かに放電の瞬間には瞬間的に数アンペア(A)という大きな電流のピーク(サージ)が観測されることがあります。しかし、人体という小さな導体に蓄えられる電気の量(電荷量)はごくわずかです。

人体が持つ静電容量はおよそ100〜200ピコファラド(pF)程度しかありません。そのため、放電はわずか数ナノ秒〜数十ナノ秒(1億分の1秒単位)という瞬きすらできない一瞬で終息します。電流が心臓のリズムを狂わせたり、筋肉を焼き尽くしたりする前に、蓄積された電荷がすべて失われてしまうのです。

身体が受ける全エネルギーに換算すると、数ミリジュール(mJ)程度に過ぎません。神経終末が集中している皮膚表面をピンポイントで刺激するため鋭い痛みを覚えますが、内臓や生命活動を司る中枢へ害を及ぼすエネルギーには到底足りないため、感電死には至りません。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。