『黒革の手帖』秘話と知られざる素顔 山本陽子が放つ不滅の引力
彼女の代表作を語る上で絶対に外せないのが、1982年にテレビ朝日で放送された松本清張原作のドラマ『黒革の手帖』である。銀座のクラブ「カルネ」のママ・原口元子役。銀行員から大金を横領して銀座の夜へ乗り込み、男たちを手玉に取る希代の悪女を、彼女は圧倒的な気迫で演じきった。
当時、清楚な役柄が多かった彼女にとって、この役は大きな賭けだった。だが、艶やかな着物に身を包み、冷徹な計算と孤独を内包した眼差しで男たちをねじ伏せる演技は、日本中の視聴者を釘付けにした。原作者の松本清張もその鋭い表現力を絶賛したという。この作品によって、彼女はサスペンスドラマ界における金字塔を打ち立てた。