三浦祐太朗が紡ぐ母・百恵の歌と現在地、愛妻と歩む独自音楽の核心
2017年にユニバーサルミュージックからリリースされたカバーアルバム『I'm HOME』は、彼のキャリアにおける決定的な分岐点となった。昭和の伝説的歌姫である母・山口百恵の楽曲を実の息子が歌い継ぐという試みは、企画段階から音楽業界内外で大きな話題を呼んだが、実際に鳴り響いた音は単なるノスタルジーを遥かに超えていた。
「秋桜」や「さよならの向う側」といった名曲群に息づく哀愁と凛とした強さを損なうことなく、現代的なJ-POPの洗練されたアレンジへと昇華させた手腕は見事というほかない。親子の血脈を感じさせつつも、中性的で透明感のあるハイトーンボイスは、楽曲にまったく新しい生命を吹き込んだ。模倣ではなく対話として母の遺産を受け止め、それを自身のアイデンティティへと統合した瞬間だった。