生涯独身の急増が映し出す日本の深層と直面する老後・経済危機
なぜここまで結婚しない人々が増えたのか。世間では往々にして「若者の恋愛離れ」といった個人の意識の問題に矮小化されがちだが、実態ははるかに構造的で根深い。厚生労働省の賃金構造基本統計や内閣府男女共同参画局が発表する白書を紐解くと、経済的な不安定さと雇用の非正規化が、若年層から家族形成の選択肢を奪い取ってきた構図が鮮明に浮かび上がる。
実質賃金の伸び悩み、重くのしかかる社会保険料の負担、そして共働きを前提としながらも旧態依然とした性別役割分担が色濃く残る職場環境。こうした複合的な障壁が、未婚化・晩婚化の連鎖を引き起こしている。「結婚したくない」のではなく「経済的・精神的なコストに見合わない、あるいは結婚したくても踏み切れない」という層が確実に積み上がっているのだ。個人の価値観の自由化という美名の下で、構造的な経済格差が婚姻行動を分断している側面を忘れてはならない。