万年筆のインクの入れ方完全攻略!手が汚れないプロ直伝の吸入・交換技
ネット上のQ&Aサイトで最も多く見られる誤ったアドバイスの一つに、「インクが出ない時は万年筆を強く振るとよい」という言説があります。これは絶対にやってはいけない最大の誤解です。ボールペンとは異なり、万年筆を振ると、ペン芯に蓄えられたインクが一気にキャップ内へ飛び散り、次にキャップを開けた瞬間に手や衣服、周囲の書類へ大惨事をもたらします。
ここでは、正しい万年筆インクが出ない時の対処法を順序立てて解説します。
- ペン先を濡らしたティッシュに軽く当てる:インクが先端で少し乾燥して被膜を作っているだけの場合、水を含ませた柔らかいティッシュペーパーにペンポイントを数秒触れさせるだけで、毛細管現象が再起動し、スムーズに書き出せるようになります。
- 首軸ごとコップの水に一瞬つける:わずか1〜2秒、ペン先をコップの水に浸すことで表面のドライアップが解消されます。
- それでも出ない場合は「インクの詰まり」を疑う:前回使用から数週間〜数か月放置していた場合、内部で水分が蒸発してインクが結晶化しています。この状態では力技で解決することは不可能です。
そこで必須となるのが、万年筆の洗浄とメンテナンス手順です。万年筆の洗浄は、難解な修理作業ではなく、正しい道具と水があれば誰でも自宅のデスクで完結します。
手順はシンプルです。まず胴軸を外してカートリッジまたはコンバーターを取り外します。カートリッジ式の場合は、首軸を水道の弱い流水にさらし、インクの固まりを流します。さらに確実なのは、使い終わった空のカートリッジの底を切り落とし、スポイトを取り付けて水を首軸の後ろから前へ勢いよく押し流す「簡易フラッシャー」の活用です。プラチナやパイロット向けに市販されている洗浄スポイトキットを使えば、わずか30秒で新品同様の清潔さを取り戻せます。
コンバーターをお持ちなら、コップに張ったきれいな水道水(熱湯はペン芯や樹脂を変形させるため厳禁。必ず常温水かぬるま湯)にペン先を浸し、何度も吸入と排出を繰り返します。水が濁らなくなるまで水を替えつつ繰り返し、仕上げにペン先を包むようにコップの底に敷いたティッシュの上に立てて一晩置き、重力と毛細管現象で内部の水分を徹底的に吸い出せば洗浄完了です。
なお、ネットオークション等で購入した数年間放置のヴィンテージ万年筆などで固着が激しい場合は、市販の「万年筆専用洗浄液(インククリーナー)」を希釈した水に数時間から一晩つけ置きするのが最も安全で確実なアプローチとなります。