退職届と退職願の決定的な違いとは?出す順番の罠と2026年最新手続き
インターネット上の掲示板やSNSでは、退職手続きに関して法的な誤認を含んだ言説が数多く出回っています。特に注意すべき典型的な誤解を是正していきます。
誤解1:「退職届を出しても、会社が承認印を押さなければ退職できない」
これは明らかな誤りです。退職願であれば会社の合意が必要ですが、退職届は「一方的な形成権の行使」です。会社の決裁や承認印の有無に関わらず、意思表示が会社に届いた時点で効力が発生します。会社の印鑑がないからといって退職が成立しない法的根拠は一切ありません。
誤解2:「就業規則に違反して2週間で辞めたら、巨額の損害賠償を請求される」
会社側が「損害賠償を請求する」と脅しをかけてくるケースがありますが、日本の労働法廷において、従業員1人が法律に則って2週間で退職したことによる実損害の立証は極めて困難です。会社の売上減少や代行要員の確保費用などは通常業務の運営リスクの範囲内とみなされるため、退職者個人に賠償命令が下る判例は、会社資金の持ち逃げや故意の背任行為など特殊な背信性がない限りほとんど存在しません。
自己都合と会社都合の決定的な給付金格差
退職手続きにおいて最も警戒すべきは、離職票の離職理由コードです。自己都合退職と会社都合退職(特定受給資格者)では、ハローワークで受給できる雇用保険の失業手当に雲泥の差が生じます。
- 受給開始までの待期期間:会社都合の場合は7日間の待期期間のみで支給が始まりますが、自己都合の場合は7日間の待期期間に加えて給付制限期間(通常1〜2ヶ月)が発生し、手当が手元に入るまでに大きなタイムラグが生じます。
- 最大所定給付日数:自己都合の場合は年齢や被保険者期間に応じて90日〜150日程度にとどまりますが、会社都合の場合は被保険者期間や年齢によって最大330日(場合によっては360日)まで手厚く保護されます。
- 国民健康保険料の減免:会社都合退職者には、前年度所得に対する国民健康保険料の算出において大幅な軽減措置(給与所得を100分の30として算定)が適用されます。
仮に実態がパワーハラスメントや月45時間超の時間外労働の継続による退職であったにもかかわらず、言われるがまま「自己都合による退職届」を提出してしまうと、本来得られるはずだった給付資格を放棄することになります。客観的な残業記録や医師の診断書を確保した上で、ハローワークで離職理由の異議申し立てを行う余地を残しておくことが賢明です。