「世界は5分前に始まった」記憶は偽物か?誰も論破できない哲学の真実
単なる哲学者の机上の空論にとどまらず、最先端の理論物理学・宇宙論からも類似のパラドックスが浮上しています。それが統計力学の父ルートヴィッヒ・ボルツマンの議論から派生した「ボルツマン脳(Boltzmann brain)」の概念です。
広大な宇宙空間が熱的死を迎えて永遠の時間が流れる中で、量子力学的な「熱ゆらぎ」によって粒子が偶然結合し、自己意識と偽の記憶を持った単一の脳が真空からぽつりと自然発生する確率が存在します。
現代のインフレーション宇宙論や多世界解釈の計算モデルによっては、「138億年かけて知的生命体へと進化した本物の人間」の数よりも、「広大な宇宙のゆらぎによって突然発生し、偽の記憶を持って次の瞬間に消滅する脳」の数のほうが統計的に圧倒的に多くなるという奇妙な結論が導き出されてしまいます。物理学者たちはこの不都合なパラドックスを回避するため、宇宙論モデル自体の修正に挑み続けています。