ターコイズブルーに宿る野性と静寂。陶芸家・苫米地正樹が切り拓く現代器の到達点
苫米地正樹の代名詞といえば、青空や鉱物を想起させる「ターコイズブルー」の釉薬だ。発色の美しい鮮烈なブルーと、燻(いぶ)し焼きによって黒く引き締められた陶肌。この対極にある二つの要素が調和した姿は、見る者に強い衝撃を与える。
作品の表面を細かく観察すると、網の目のように走る微細な裂け目――「貫入(かんにゅう)」が刻まれている。この貫入は単なる模様ではない。器が焼き上がり、冷めていく過程で素地と釉薬の収縮率の違いによって生まれる自然の痕跡だ。
使えば使うほど、日常の茶や珈琲の成分が貫入に染み込み、器の表情は深みを増していく。時間をかけて「育てる」喜びを提示している点も、彼の作品が選ばれる大きな理由である。