吉村作治を支えた妻の正体と別離の真相!砂漠に捧げた波乱の半生
吉村作治がまだ何者でもなかった青年期、彼の無謀とも言える夢を信じ、生活を共にした女性がいた。一般人であるためプライバシーは厳重に守られてきたが、その結婚生活は平穏とは程遠いものだった。当時の日本にはエジプト学で飯を食う道など存在しない。研究費はなく、借金だけが膨らむ日々。彼女は家計を必死にやりくりし、夫の不在を守り続けた。
子どもが熱を出しても、夫は地球の裏側。連絡手段すら限られていた時代、手紙の返信は何週間も届かない。孤独の中で子育てと家計を背負い続けた妻の精神的重圧は、想像を絶する。吉村自身も後に自著で「家庭人としては落第点どころか、存在すらしていなかった」と痛恨の悔恨を吐露している。夫婦の距離は、物理的な距離とともに次第に埋められない溝となっていった。
やがて訪れた別離の選択。二人は憎しみ合って別れたのではない。古代の遺物に人生のすべてを捧げてしまった男と、現実の暮らしを守らなければならなかった女。互いの生き方を全うするための、あまりにも切ない必然だった。メディア非公開のまま貫かれた沈黙は、家族への最後の敬意だったと言える。