菅田将暉が放った狂気の輝き『溺れるナイフ』小松菜奈と刻んだ衝動
従来のティーン向け映画が敷いてきた予定調和のレールを、山戸結希監督は鮮やかに粉砕してみせた。少女の主観世界を徹底的に肯定しながら、言葉にならない欲望や嫉妬、身体感覚の目覚めをリリカルかつ暴力的な映像美へと昇華させた手腕は、当時の映画批評界にも大きな衝撃を与えた。
カット割り、台詞の重なり、過剰なまでの劇伴の使い方。そのすべてが「10代の瞬き」を永遠に定着させるための儀式のように機能している。原作の持つ文学的な熱量を損なうことなく、映画というフォーマットでしか到達し得ないエモーションの頂点へと観客を誘った。