ベジータに散った人造人間19号の真価と今語られる衝撃の裏設定
鳥山明という天才が描くキャラクターの真骨頂は、「一見強そうに見えない者が実は恐ろしい」というギャップの演出にある。19号のデザインはまさにその極致だ。マスコットキャラクターのようにも見えるフォルムでありながら、ひとたび戦闘に入れば相手の脈動を掴み、無情にエネルギーを吸い尽くす。このギャップが読者に与えた恐怖体験は、当時の少年漫画において極めて先駆的であった。
80年代から90年代にかけて黄金期を迎えたSFバトルアクションジャンルにおいて、機械生命体の恐怖を描いた作品は数多い。しかし、19号のように「感情の欠落」と「無機質な美徳」をポップな絵柄の中に同居させた例は極めて珍しい。鳥山明の圧倒的なデッサン力とセンスがあったからこそ成立した、漫画史に残る異形のビジュアルデザインと言える。