秋鹿の日本酒が支持される秘密|大阪能勢の一貫造りと燗酒の極意
秋鹿酒造を唯一無二の存在たらしめている最大の要因が、自社田での酒米栽培から醸造・熟成までをすべて自前で行う「一貫造り(ドメーヌ・スタイル)」です。現在では自社田および契約栽培田において、農薬や化学肥料に極力頼らない循環型農業を実践し、最高峰の酒米「山田錦」をはじめとする原料米を丹精込めて育て上げています。
秋鹿酒造が米作りに乗り出した背景には、1980年代後半からの蔵元の強い危機感と決断がありました。当時、日本酒業界全体が大量生産・大量消費から特定名称酒への転換期を迎える中、秋鹿酒造はいち早く「本物の酒造りは本物の米作りからしか生まれない」という信念に辿り着きました。酒造りの都合に合わせた米を買うのではなく、土壌の微生物環境を整え、籾殻や酒粕を堆肥として田に戻す循環型バイオサイクルを構築。生命力に満ちた米を収穫し、その米の力を余すところなく醪(もろみ)の中で発酵させる道を選んだのです。
自社栽培山田錦を用いた純米酒は、米の表層だけを削った過剰な高精白に頼らずとも、雑味ではなく重層的な旨味となって酒の中に溶け込みます。「米の命を酒に宿す」というこの徹底した現場主義こそが、時代や流行に左右されない秋鹿の強靭な背骨となっています。