北朝鮮の学校給食の実態|平壌の贅沢と地方の飢餓が暴く格差の真相
就学前の乳幼児を取り巻く栄養状況はさらに深刻です。最高指導部は「国家最高育児政策」を打ち出し、全国の託児所や幼稚園に対して乳製品やお菓子、豆乳を無償供給するよう指示を出しました。法律上は「育児法」が整備され、すべての子どもへの配給が義務付けられています。
ところが現場の地方工場では、乳製品を加工するための生乳も、お菓子を作るための砂糖や小麦粉も極度に不足しています。地方幹部はノルマを達成するために薄めた豆乳や粗悪な雑穀クッキーを一時的に配るものの、継続的な供給は数週間と持たずに破綻するのが常です。
国際機関の調査データにおいても、北朝鮮の5歳未満児における「発育阻害(慢性的な栄養失調による低身長)」の割合は、地方農村部を中心に極めて高い水準で推移しています。成長期に不可欠な動物性タンパク質や脂質、微量栄養素が決定的に欠落した食環境が、次世代の健康に回復困難な影を落としています。