過酸化水素と過マンガン酸カリウム反応式と硫酸酸性の理由を徹底解説
中和滴定ではフェノールフタレインやメチルオレンジなどの指示薬が不可欠ですが、過マンガン酸カリウム滴定では指示薬を一切加えません。なぜなら、滴定試薬である過マンガン酸カリウム自身が極めて鮮烈な天然の指示薬として機能するからです。
実際の滴定現場における溶液の変色プロセスは、以下の段階を辿ります。
ビュレットから滴下されたKMnO₄の赤紫色は、三角フラスコ内のH₂O₂と接触した瞬間、瞬時に無色のMn²⁺イオンへと還元され、溶液は無色透明を保ちます(Mn²⁺は実際にはごく微小な淡桃色ですが、希薄溶液では完全に無色透明に見えます)。
フラスコ内に存在していた過酸化水素がすべて反応し尽くした「当量点」に達した直後、次の1滴として滴下された過マンガン酸イオンは、反応相手を失って分解されずにフラスコ内にそのまま残存します。その結果、溶液全体が「ごくわずかな赤紫色(かすかな淡桃色)」に着色します。
ここで重要な現場の判定基準は、「その淡い色が約30秒間振っても消えずに残る瞬間」を終点と見なすことです。空気中のわずかな還元性物質や自己分解によって時間が経つと徐々に退色することがあるため、30秒程度の持続を確認した瞬間の目盛りを正確に読み取ることが、分析化学における鉄則です。