富士見Base閉館の真実: 調布市が失った革新的コミュニティの光と影
調布市では、少子高齢化の進行と人口動態の変化により、空き家問題が深刻化していた。2020年代に入り、市内の空き家率は徐々に上昇。特に富士見町エリアでは、老朽化した木造住宅が放置され、防災上のリスクや景観の悪化が地域課題となっていた。
行政は従来の解体中心のアプローチから方向転換を図る。空き家を地域資源として捉え直し、コミュニティ施設へと再生する実験的プロジェクトを企画した。その第一号が富士見BASEである。
プロジェクトの設計思想は明確だった。単なる公共施設ではなく、住民が自発的に関わる「参加型」の場を創出すること。行政が枠組みを提供し、民間の創造性と地域住民のエネルギーを結合させる。この理念のもと、三つの異なる事業体が一つ屋根の下に集結した。
「まちのつながりプロジェクト」の理念
調布市が掲げた「まちのつながりプロジェクト」は、物理的空間の再生にとどまらない。人と人、世代と世代、地域と外部をつなぐハブ機能の構築を目指した。富士見BASEはそのモデルケースとして位置づけられ、成功すれば市内他地域への展開も視野に入れられていた。
資金面では、国土交通省の空き家対策関連補助金や東京都の地域活性化予算が活用された。リノベーション工事には地元の建築業者が参画し、雇用創出効果も期待された。