六代目山口組・司忍の伝説と激動の歩み!沈黙のカリスマを解剖
司忍が放つオーラは、日本の大衆文化における「アウトロー像」の変遷とも密接に呼応している。かつて東映が描いた『仁義なき戦い』に代表される任侠・ヤクザ映画の荒ぶるエネルギーは、貧困と暴力が剥き出しだった昭和の産物だった。血気盛んな若者が盃ひとつで命を散らす泥臭い美学が、当時のスクリーンを支配していた。
だが、司忍が体現したのはそうした泥臭さを削ぎ落とした、怜悧で洗練された「現代の首領」の姿だ。仕立ての良いスーツに身を包み、寡黙にして圧倒的な存在感を放つそのスタイルは、暴力団という反社会的集団に対する忌避感とは裏腹に、映画関係者やクリエイターたちの創作意欲を刺激し続けてきた。昭和の任侠スターたちが演じた幻想は、司忍という現実のフィクサーの登場によって、完全に上書きされたと言える。