『アップタウン・ファンク』制作の狂気と盗作裁判|メガヒットの真実
メガヒットの宿命として、『アップタウン・ファンク』はリリース直後から複数の著作権侵害訴訟やクレームに直面しました。これは現代の音楽ビジネスにおいて「過去のレガシーへのオマージュ」が直面する最もシビアな法的リスクを浮き彫りにしています。
最も大きな動きとなったのが、1979年の大ヒット曲『Oops Up Side Your Head』を手掛けた伝説的ファンクバンド、ザ・ギャップ・バンド(The Gap Band)側からの申し立てです。特徴的なチャントのリズムやベースの進行が類似しているとの指摘を受け、裁判所での全面対決を避ける形で和解が成立。ギャップ・バンドのメンバー5名が正式な共同作曲者としてクレジットに追加され、ロイヤリティの約17%が支払われることになりました。
さらに、80年代の女性ラップグループThe Sequenceの『Funk You Up』や、ファンクバンドCollageの『Young Girls』の権利保有者からも相次いで訴訟が提起されました。当初はマーク・ロンソン、ブルーノ・マーズ、フィリップ・ローレンス、ジェフ・バスカーの4名だった作詞作曲クレジットは、最終的に11名以上へと膨れ上がりました。この事例は、ロビン・シックの『Blurred Lines』裁判と並び、音楽業界における「グルーヴや雰囲気の著作権保護」の基準を一変させた歴史的係争として語り継がれています。