森林限界とは何か?木が育たぬ理由と日本の山ごとの標高差を徹底解剖
森林限界を越えた先に広がるのは、過酷な気象に適応した類まれな植生空間です。本州中部以北の高山帯を象徴するのがハイマツ帯の分布です。
ハイマツ(這松)はマツ科の常緑低木で、強風と雪の重圧を真正面から受け止めず、地面を這うように枝を広げて群落を作ります。冬の間は完全に雪の下に埋もれることで、乾燥した寒風やマイナス数十度の冷気から自らの組織を守る驚くべき生存戦略を持っています。このハイマツ帯は、特別天然記念物であるニホンライチョウの貴重な餌場や隠れ家にもなっています。
ハイマツの間や岩隙を彩るのが、短い夏に一斉に花を咲かせる高山植物たちです。強風に耐えるため全体的に草丈が低く、根を深く伸ばす特徴を持ちます。「高山植物の女王」と称されるコマクサは、他の植物が生育できない不安定な砂礫地に単独で根を張ります。湿り気のある雪解け跡にはチングルマやハクサンイチゲが広大な群落(お花畑)を形成し、わずか数週間の短い夏を謳歌します。