名匠が惚れ抜く怪演女優・河井青葉の真価と独占取材で迫る素顔
日本映画の最前線を走るフィルムメーカーたちが、こぞって彼女に重要な役を託すのは偶然ではない。とりわけ世界的な注目を集めたのが、濱口竜介監督によるオムニバス映画『偶然と想像』だ。第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した同作において、彼女が演じた大学教授の元へ向かう女性の会話劇は、観る者の神経を心地よく逆撫でするほどの緊迫感に満ちていた。
台詞をただ喋るのではない。相手の言葉の温度、室内の光、沈黙の長さに反応して、皮膚呼吸のように感情が漏れ出す。濱口監督が重んじる「言葉そのものが持つ力」を濁りなく観客に届ける器として、彼女の芝居は完璧に機能していた。奇をてらわないのに目が離せない。この稀有な特質こそが、目の肥えた映画監督たちを虜にし続ける根源にある。