シメはラーメンより釜揚げうどん?宮崎深夜の行列と名店の真相
九州の歓楽街といえば、博多の中洲や熊本の下通に見られるような濃厚な豚骨ラーメンでのシメを想起する方が多いかもしれません。しかし、宮崎市ニシタチの夜にその常識は通用しません。深夜2時を過ぎても、細い路地の奥から漂う出汁の香りに引き寄せられるように、スーツ姿のビジネスマンや地元客、観光客が釜揚げうどん店に吸い込まれていきます。
この独特な「シメうどん文化」が定着した背景には、宮崎特有の飲酒文化と、生理学的・栄養学的な必然性が存在します。宮崎の夜は、度数20度の本格芋焼酎をロックや水割りで時間をかけて楽しむスタイルが主流です。長時間にわたる宴席の後、炭水化物と水分、そしてアルコール分解で失われた塩分と糖分を身体が激しく欲します。その際、濃厚な動物性油脂を含むラーメンは、疲弊した胃腸にとって過度な負担となります。
対して、宮崎の釜揚げうどんは、水で締めずに茹で釜から直接引き揚げたアツアツの柔らかい麺を、いりこや昆布、甘口醤油をベースにした熱いつゆにつけて食します。消化吸収が極めて早く、良質なアミノ酸と適度な塩分、クエン酸を含む柚子の香りが、アルコールで疲れた肝臓と胃腸を穏やかにいたわります。「翌朝に胃もたれを残さない」という実利的な体験が何十年にもわたって積み重なり、ニシタチの夜の生態系として不可分な存在になったのです。