鬼才・坂野旭の熱量。『魔ノマノ』から『戦車椅子』、独自取材で迫る
坂野作品の真骨頂は、単なる爽快感では終わらない「毒」と「救い」の共存にある。登場人物たちは皆、何らかの欠陥や深い傷、逃れられない業を抱えている。完璧なヒーローなど存在しない。だからこそ、彼らが窮地で見せる一瞬の輝きや優しさが、読者の胸を強く打つ。
光を描くために、あえて闇を深く描く。この緻密な感情設計が、単なるアクションマンガの域を脱し、読者の心に深く刺さる理由だ。少年漫画特有の「友情・努力・勝利」のカタルシスを踏襲しながらも、人間のドロドロとしたエゴや愛憎を隠さずに描く度胸。それこそが、彼が現代の漫画界で唯一無二とされる所以である。