ムーア人とは何者か?肌の色の真相とスペインを揺るがした栄光の歴史

ムーア人とは何者か?肌の色の真相とスペインを揺るがした栄光の歴史の具体的な内容に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。

ムーア人の存在感は、歴史の教科書だけでなく世界文学や遠く離れたアジアの地名・民族名にまで深く刻み込まれています。

最も著名な文学的結実が、イギリスの文豪ウィリアム・シェイクスピアの四大悲劇『オセロー』です。主人公オセローは「ヴェニスのムーア人(The Moor of Venice)」と銘打たれ、高潔で卓越した軍事能力を持つ異国の将軍として描かれます。劇中では彼を指して「黒い」「バルバリアの馬」といった表現が用いられ、当時のエリザベス朝イングランドにおけるムーア人に対する畏怖、異国情緒、人種的偏見が入り混じった複雑な眼差しが色濃く反映されています。

さらに「ムーア」の影は、大航海時代を通じてアジアの辺境にまで広がりました。16世紀、世界周航の途上でフィリピン諸島に到達したスペイン人探検家たちは、ミンダナオ島やスールー諸島に暮らすイスラム教徒の先住部族と遭遇します。かつて本国イベリア半島で激闘を繰り広げたイスラム教徒の記憶が生々しく残っていたスペイン軍は、彼らを敵対心を込めて「モロ人(Moros)」と呼びました。この呼称は現代に至るまでフィリピン南部のイスラム系住民の呼称(モロ民族)として定着しており、スペイン史の傷跡が遠く離れた東南アジアの地政学に直結している好例と言えます。

渡辺 美咲

渡辺 美咲

ガジェット&アプライアンスライター

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