コンクリート殺人事件の真相と犯人の現在|なぜ惨劇は防げなかったのか
この事件において最も痛恨とされるのは、「被害者を救出できる機会が幾度も存在していた」という点です。なぜ41日間もの長期間、異常事態が外部に漏れず放置されてしまったのでしょうか。
第一の要因は、犯行現場となった住宅に同居していた「犯人Cの両親の対応」にあります。2階で不審な物音が続き、見知らぬ少女が滞在している事実を把握していたにもかかわらず、息子たちの家庭内暴力や報復を恐れるあまり、部屋に踏み込んで問い詰めることも警察へ通報することも放棄しました。後の民事訴訟において、東京地裁は「両親には同居する親として少年の非行を阻止し、警察へ通報すべき注意義務違反があった」と認定し、被害者遺族に対する巨額の損害賠償支払いを命じています。
第二の要因は、当時の「警察の初動捜査体制」です。被害者の家族は失踪直後から警察に捜索願を出し必死の捜索を続けていました。実は監禁中、少年の関係先として警察官が一度現場の民家を訪れた経緯がありましたが、少年側による「彼女と一緒にいるだけだ」という口頭の言いつくろいを鵜呑みにし、室内への立ち入り確認を行わずに立ち去ってしまいました。当時は家出人捜索に対する危機管理意識が希薄であり、家庭内の問題に警察が深く介入しない「民事不介入」の原則が現場レベルで硬直的に運用されていたことが致命的な隙を生んだのです。
さらに、部屋に出入りしていた不良仲間たちの間で働いた「集団的傍観」と「同調圧力」も救出を阻む壁となりました。関与した少年たちはお互いの暴力を誇示し合い、密告者を裏切り者として制裁する恐怖支配を形成していたため、異常を認識しながら誰一人として外部に通報することができませんでした。